今回は谷井治療室で行っているMTS療法において、いかに意識のニュートラルが大切かについてがテーマとなります。
MTS療法を行う際にキネシオロジーテスト(筋力テスト・筋肉反射テスト)によって調整する箇所を診断しますが、このときに一番大切なことがあります。それは、心または意識を瞬時にニュートラルに出来るかどうかです。ここに診断に於ける妙味がありますが、この差がレベルの差ともなるのです。
人間は、ややもすると先入観やとらわれや、こだわりなどに心を乱し正しい判断ができなくなるものです。今までの固定観念や、目の前の患者さんの病名や症状、それから患者さんの言動など、いざ診断に当たって心を乱す要因はいくらでも存在します。
仏教でも、中道の心の大切さが説かれておりますが、心に偏りやこだわり、とらわれのない状態が悟りに至る要諦であり、そのための方法の一つに禅定があります。お釈迦様の説かれた八正道の中にも「正定」があり、これによって「正見」すなわち正しく見ることにつながってゆくのです。
私がこのニュートラルに入る時の感覚に役立ったのが、中村天風師の「安定打坐法」(あんじょうだざほう)です。これは、別名「天風式座禅法」とも呼ばれ、雑念・妄念を取り払い無声の境涯に己を置き、無の境地に到達するものです。この安定打坐法を知った曹洞宗大本山総持寺の石川素童(いしかわそどう)禅師は、「私の寺(総持寺)の全てのものと引き換えに出来るほどの価値のあるもの」と言われたそうです。
安定の打坐密法の真諦は 心耳を澄まし 空の声きく
心をば 虚空の外に置きかえて 五感気にすな 打坐の妙法
心をば静かに澄ます 空の空
天風誦句集(一)背表紙裏より
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